2013年10月14日

カルト社会化する?中国

Nスペ「中国激動 ”さまよえる”人民の心」。
中国経済にも陰りが見え、これまでの金儲け一辺倒では
社会全体、うまくゆかなくなってきた。特に貧富の格差は
大きくなり、貧しい人々の生活は誰も守ってくれない…。

そうした中、中国ではキリスト教や儒教といった宗教が
人民の支持を得て、拡大しているという。

ある女性企業家はこれまで順調であった会社が夫の突然の死
以降、低迷して倒産してしまう。これまで彼女は家族や周りの人の
ことを顧みず、自分の利益しか考えてこなかった、と涙ながら反省し、
儒教の道に進む。

農村から都会に出稼ぎに出た二十代の女性は仕事が
うまくゆかずに失業して失意の中、家庭教会の人に救われる。
拝金主義という「悪魔」を追い出す儀式を通じて、彼女は
キリスト教に帰依する。

内戦後、「革命」で正統性を勝ち得た共産党は、90年代以降は
経済成長で社会の安定を図ってきた。しかし、
経済発展で豊かな暮らしを提供することで民心を安定させる
ことができなくなった共産党は、今や宗教の力を利用せざるを
得なくなっている。

番組で映された映像は、中国人民が集団で宗教に走る図である。
頼るべき集団としての儒教集団や教会。その教義を真剣に
考えているとは思えない。そこにあるのは、集団による「熱狂」だ。

中国社会は徹底してプラグマティックである。人々はその時々の
流行に敏感だ。さまよう人々の受け皿が何処にもなくなっている
今の中国で、宗教がそれを提供しているのだろう。

もともと伝統的に「小さな政府」であった中国では、民間社会で
地縁血縁などによって相互扶助を行ってきた。国家権力は
むしろ人民をいたぶり、搾取する「悪者」であった。
共産党はそうした「伝統」を否定、共産主義的な社会改造を
行った。しかし、歴史が明らかにしたように、社会主義改造は
見事に失敗した。

何事も極端に走る傾向にあるのが中国文化の特質に見える。
儒教も社会に役立つ面もあるし、女性蔑視などよろしくない
側面もあった。資本主義も二面性がある。

先に紹介したもと女性企業家は今や儒教の布教活動に
命をかけるという。これも、ある種の「熱狂」だ。

今の中国に必要なのは「熱狂」ではなく、「冷静さ」だ。
社会の規範を儒教やキリスト教に求めるのは
結構だが、それは社会に根付くのだろうか?
社会正義や道徳は、確かに「綺麗ごと」という
面もある。しかし、それでも社会には必要なのだ。






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Posted by ドクトルふぁん at 00:05│Comments(0)中国
 
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